2020年12月12日土曜日

【2値マスクの作り方】(補足)ステライメージ、Photoshopを使用した本格「新星景写真」

 昨日の、ステライメージ、Photoshopを使用した本格「新星景写真」ですが、流行りの2値マスクを作成した手法は採用していません。世間の2値マスク化による地上風景の分離は、あたかも魔法を使うがごとく、簡単な操作で美しく分離するように語られていますが、実際はかなりの微修正が必要で、地上との明るさの差異から、境界の合成は比較明でも上手くいかないことも多いです。
 なら、超高性能になったオブジェクト選択ツールを駆使し、最初からシンプルにマスク切った方が、手間も大差ないし、良いのでは?というのが私の現在のところの見解です。また良い方法が見つかればレポしますね。
 ということで、一応、補足として、2値マスクの作り方についてはこんな感じです。

  1.  画像の読み込み
     Photoshopを起動し、加算平均合成の地上用写真、1枚の境界用写真、加算平均合成の星空写真、比較明合成の星空写真の4枚を読み込みます。





  2.  レイヤー間の位置合わせ
    ・境界用レイヤーと加算平均レイヤーのみ表示して、星の位置を合わせます。片方のレイヤーの描画モードを「差の絶対値」することで、重なっていれば黒になるので、星空ができるだけ真っ黒になるようにレイヤーを微調整します。



    ・境界用レイヤーと加算平均レイヤーの星の位置合わせができたら、加算平均レイヤーと比較明レイヤーも同様に合わせます。
     この時、加算平均レイヤーを動かしてしまうと、せっかく合わせた境界用レイヤーとの位置がズレてしまうので、比較明レイヤーを動かして合わせることに注意。
     境界用、加算平均、比較明の星の位置合わせが終わったら、すべてのレイヤーのレイヤーの描画モードを「通常」に戻します。
  3.  地上の作成
    ・地上用レイヤーを複製し、「マスク」と名前を付けておきます。
     「マスク」のみを表示、選択し、チャンネルパレットに切り替え、レッド、グリーン、ブルーをそれぞれ確認し、一番明暗差のあるチャンネルを複製します。
     「イメージ」→「色調補正」→「レベル補正」をクリックします。
    ・入力レベルのシャドウとハイライトを中央に切り詰め、空と地上の境界を分離させます。
     この時、地上風景が飛んでしまわないように、また空と地上の境界が黒つぶれしないポジションを選択します。
    ・白っぽくなった境界付近の地上部分を焼きこみツールで暗く、黒っぽくなった境界付近の星空部分を覆い焼きツールで明るくします。
     また、境界以外の地上で白くなった部分はブラシで黒く、境界以外の星空で黒くなった部分はブラシで白く塗ります。
    ・「イメージ」→「色調補正」→「2階調化」をクリックし、地上と星空が分離するしきい値を設定します。

    ・「選択範囲」→「選択範囲を読み込む」をクリックし、「反転」にチェックを入れてOKします。
    ・レイヤーパレットに切り替え、地上用レイヤーを表示、選択し、パレット下の「レイヤーマスクを追加」をクリックすると、地上部分だけが切り抜かれます。
  4.  星空上空の作成
  5.  加算平均レイヤーを表示し、地上を消しゴムツールで消去します。境界部分は別のレイヤーを合成するため、少し星空が消えても良いので地上部分は残さないようにします。
  6.  境界の作成
    ・ここまでの作業で地上と星空ができましたが、表示してみると、4.で星空を小さめに切り抜いているので境界部分がありません。そこで、境界用レイヤーまたは比較明レイヤーのどちらかを表示し、自然な方を確認します。
     今回のように地上の方が星空より明るい場合は、比較明で星空部分に地上部分が写っているので、境界用レイヤーを採用します。もっと暗いロケーションの場合は、比較明の方がS/Nが良いので、不自然でなければ比較明を優先した方が良いでしょう。
     境界用レイヤーを採用する場合は、1枚絵なので上空とノイズ感を揃えるため、必要に応じて、Camera RAWフィルターで強めのノイズリダクションをかけておいた方が自然に見えます。

    地上と星空を表示したところ、境界部分がありませんね…



    比較明:地上が写って不自然 → 不採用



    境界用:比較明より自然だが、境界部分だけ妙にノイズが多い



    Camera RAWフィルターでノイズリダクション処理後
    自然さが増し、境界がより分かりにくくなった


 これで合成処理は完了です。あとは、1枚撮りと同様に好みのレタッチをかけて出来上がりです。ノイズが少なく、レタッチも強めにかけても破綻しにくいため、好きに仕上げてみましょう。

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